『正義の教室』を読んで。
飲茶氏著の『正義の教室』を読了した。個人的に飲茶氏の作品は大好きで、読書好きになるきっかけを作ってくれた作家である。ジャンルは哲学や科学である。彼の文章は読みやすいだけでなく、非常に論理的で腑に落ちることが多い。
この作品は「正義とは?」という哲学的な問いを扱いながら、現代までの哲学史をざっと説明している。みなさんも一度は正義について考えたことがあるのではないだろうか。例えば、次の問いを考えてみてほしい。
「あるトロッコが走っており、このまま進むと一人の人間を轢き殺してしまう。あなたの目の前にはレバーがあり、それを引くと線路を切り替えることができ、その一人は助かる。しかし、切り替えた方場合の線路を走った場合、五人の人間を轢き殺してしまうことになる。さあ、あなたはどうするか。」
これはトロッコ問題と呼ばれる思考実験で、正義を考える際によく取り上げられる。この本でも度々登場する。もちろんこの問いに答えなど存在しない。すなわち、正義なんてものに答えがない。しかし、社会人として正義について考える必要がある場面は幾度となく出てくるのではないだろうか。この本ではこの問いに対する考え方を、人生をかけてこの問いに挑んできたソフィスト達を扱いながらレクチャーしているのだ。
この本では、正義は3種類存在すると言っている。それは、平等・自由・宗教である。自分の頭の整理のために、これら一つずつのポイントと問題点を三日間に分けて説明していきたいと思う。
(明日に続く)