daikosh's blog

1日1アウトプット

冬は贈与の季節。

 

クリスマスである。「100分で名著」で最近学んだ『野生の思考』でちょうどクリスマスに関する話題があったので、少し紹介したいと思う。『野生の思考』はフランスの哲学者であり構造主義創始者レヴィ・ストロースが著した哲学書である。彼は人間の思考には野生状態があり、普遍的な思考能力を持つと説明しており、これを野生の思考と名付けた。そして、この野生の思考を用いることで、未開人たちの文化も西洋文化と同じく高度な文化であると主張したのである。

 

1951年にフランスのディジョンでサンタクロースの人形が火炙りにされるという事件があった。レヴィ・ストロースはこの事件をきっかけにサンタクロースを野生の思考の説明に利用した。

まずは、サンタクロースの歴史について少し話したいと思う。そもそも、現在12月25日に行われているクリスマスという祭りは、元々ケルト人のものであった。当時、冬という季節は日が短く、気温も低く食料も採れないため、非常に危険な季節とされていた。また、生者の生命力が落ち、死者たちが生者の世界に侵入してくると考えられていた。そこで、彼らは死者に贈り物を用意することで死者の世界に帰ってもらい、自らを守ろうと考えたのであった。このことから、ギブアンドテイクの考え方が古くから存在していたことがよく分かる。時が経ち、その祭りはキリスト教に組み込まれ、死者が侵入してくる時期にイエス・キリストが誕生することで生者を守るように意味づけた。しかし、この時点ではまだサンタクロースは存在しない上、後にペール・ノエル(Père Noël)というなまはげのような鞭打ち爺さんが悪い子に対しては鞭を打ち、良い子に対してはプレゼントを贈るという文化があっただけである。また時が経ち、第一次世界大戦後ボロボロになっていたフランスは、アメリカから経済援助を受けていた。その関係で資本主義大国であったアメリカの商業主義が取り入れられ、さらに野蛮なペールノエルは聖人ニコラウスにすり替えられ、現在のようなサンタクロースがプレゼントを子供に配るというクリスマスの形が出来上がったという。

つまり、いつの時代も冬は贈与の季節であり、これが人間の持つ野生の思考だとレヴィ・ストロースは主張したのである。サンタクロースは現代に生きる野生の思考とでも言えるのだろう。私もまだ実際に本を読んでいないのでつかめていない部分も多々あるので、詳しくは実際の本を読んでいただきたい。

 

メリークリスマス!

 

 

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野生の思考

野生の思考

 
火あぶりにされたサンタクロース

火あぶりにされたサンタクロース