daikosh's blog

1日1アウトプット

ガウディに学ぶ。ゆとりのある人生。

 

「神は完成を急がない。諸君、明日もいい仕事をしよう。」

 

これはスペインの建築家アントニ・ガウディの言葉である。ガウディと言えば、あの未完の最高傑作サグラダ・ファミリア教会の設計をした建築家だ。1882年から着工して今年で138年。当初は300年かかると言われていたが、近年の技術発展により2026年に完成予定との発表が2013年にされた。完成イメージは次の動画を御覧いただきたい。

 

 

真ん中にそびえ立つ予定の大きな塔は「イエスの塔」と呼ばれており、その内側のデザインを任されているのが実は日本人の彫刻家、外尾悦郎さんだ。ここであれっと思われた人がいるかもしれない。ガウディが設計したはずの建築物を何故デザインする必要があるのかと。実は、ガウディの建築資料はスペインの内戦で多くが焼失してしまったのだ。ただでさえ建設するのが難しい超巨大大聖堂であるのに、設計図もなしに建設すとなるとそれは時間がかかることは火を見るより明らかだろう。ガウディの意思を引き継ぎ、どのように彼が設計していたかを想像するというのが外尾さんの仕事ということになるのだ。

これらの事実は、録画してあったNHKスペシャル「サグラダ・ファミリア 天才ガウディの謎に挑む」を見て知ったのだ。

www6.nhk.or.jp

 

エスの塔のデザインのキーワードは「連続性」。自然は全て連続しており、境目は存在しないという発想から来ている。実は、ガウディがイエスの塔の内部を設計していたと思われる時期に、彼は色のグラデーションの研究をしていたことが分かった。これにヒントを得た外尾さんは、宇宙の始まりから現在までを色のグラデーションのみを使って表現することに決めたのだ。塔の先(内側)から白色が始まり、下に降りていくにつれて様々な色に連続的に変化していく。番組ではCGを用いた映像が紹介されていたが、塔の内部は神秘的な美しさを持っていた。2026年に本当に完成するのかは分からないが、生きている間に是非ともあの空間の中に身を置きたいと感じた。

 

エスの塔のデザインについて書いてきたが、実は私が今回とりあげたかったのは冒頭の言葉の「神は完成を急がない。」という箇所なのである。この言葉が非常に印象に残った。非常にラテン的な考え方で、ゆとりのある人生観がにじみ出ている。対して、都会に住む人を中心とした日本や先進国に生きる人々はどうしてもせかせかとした忙しい人生を送ってしまいがちだ。これはおそらく目覚ましい技術の発展により、目まぐるしく変化する時代になったことが大きく影響しているだろう。しかし、どんな時代に生きようと、我々一人一人が生きている間にできることなど、たかがしれているはずだ。神にとって、人一人の一生など一瞬にも満たないだろう。このことを少しでも意識すると気が楽になるのではないだろうか。特に疲労しているときや、忙しい日々を送っている時は、どうしても視野が狭まりがちである。たまにはスケール感が大きいことを想像してみることで、ゆとりのある人生に少しでも近づけるはずだ。ガウディのこの言葉をきいて、私はこのようなことを感じていた。