daikosh's blog

1日1アウトプット

人類が手にした初めての麻薬。

 

先日に投稿したNHKスペシャル、食の起源の続きである。

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第2集のテーマは塩であった。塩は我々人類の食にとって必要不可欠なものであり、口にしない日は無いだろう。しかし最近では塩分の取り過ぎが健康被害を引き起こすことから、減塩食品が流行っている。これほど、現代の人間の食事と密接に関わっている塩について、今回の番組から得られた情報をまとめたいと思う。

 

まず、心臓や神経細胞は電気信号を電気エネルギーはナトリウムが生み出しており、その源である塩が人間にとって必要不可欠な栄養であることは間違いない。しかし、一日2gほど、多くても5gほどで十分なのだそうだ。では一体何故、これほど現代人は塩を摂取したがる体となってしまったのだろうが。それには2つ大きな事件が関連していると説明されていた。

 

まず1つ目は4億年前に起こった。海の中で暮らしていた我々の祖先は、新天地である陸上へ進出していったのだ。しかし、海中に潤沢にあった塩は陸上には十分に存在しなかったためm、我々の祖先は舌を発達させて陸上に存在するわずかな量の塩にでも反応するように進化してきたのである。

 

2つ目の事件は約1万年前に起こった。今から1万2千年前に人類は農耕を始め、穀物や野菜を多く食べることができるようになったのだが、ナトリウムはほとんど含まれておらず、ナトリウム不足に陥ったのだ。また野菜に多く含まれるカリウムは必要な栄養素なのだが、摂取しすぎると体に良くない。従ってカリウムを摂取しすぎないように、腎臓にはカリウムを取りすぎると吸収する穴が閉じるようなシステムとなっているのだが、同時にナトリウムも吸収できなくなるそうなのだ。つまり、農耕を初めた祖先はナトリウムを以前よりも多く摂取する必要が出てきたのである。そこで、彼らは塩作りを始めたのだ。それがおよそ8千年前だそうだ。

 

以上が人間が塩分を大量に摂取したくなる体に進化してきた主な理由である。最後に、塩を摂取したくなるシステムがどのようにできているかを説明したいと思う。実は人間の舌にある味蕾のシステムを見ればその全てが分かるのだ。

味蕾には塩に反応するもの、糖分に反応する部位、脂質に反応する部位、といった具合にそれぞれ役割が分かれている部位が存在していることをご存知の人は多いのではないだろうか。しかし実はこれ以外に、糖分+塩分で反応する部位、脂身+塩分で反応する部位があるするそうなのだ。つまり、糖分だけ食べるよりも塩と一緒に食べたほうが、糖分だけに反応する部位と糖分+塩分に反応する部位の両方が反応することにより、より甘みを感じるということになる。スイカに塩をかけて食べるという経験は誰しも経験していると思うが、まさにこの反応を利用している。「塩は美味しさを制御するコントロールタワー」なのである。脂身についてはあまり意識したことがないので、今度意識して試してみたい。その他にも辛さや苦さもより増強されるのだろうか。是非やってみていただきたい。

 

以上、人間がなぜ、そしてどのように塩に魅了されているかをざっとまとめてみた。このまとめからも分かるように塩の誘惑に打ち勝つのはなかなか難しいのだが、塩分過多は健康に悪いことは明白であるため、必要最低限の塩を取るように心がける必要はありそうだ。ちなみに、できるだけ素材の表面に塩をつければ比較的少量の塩で済むという小技が紹介されていたので参考にしていただきたい。