コーヒーナップについて。
コーヒーナップ。昼食後にコーヒーを飲み、その後に昼寝(ナップ)を30分程すると、午後の集中力があがり生産効率が上がるというものである。コーヒーを飲む理由は、そのカフェインが30分後に効き始めることにより、昼寝の寝覚めをよくするためである。この習慣もDaiGoの動画からの受け売りであり、始めてから約1年ほど経つ。従って、前回のリーンゲインズと同様に論文を探してみた。
論文①
Conclusions
Individuals with 7–8 h of night sleep combined with no daytime naps or less than 1 h of daytime napping were at low risk of stroke; nighttime sleeping ≥9 h combined with daytime napping ≥1 h and night sleep <7 h combined with 0 or >1 h daytime napping was associated with high risk of stroke.
この論文は、通常の夜間睡眠と昼寝の関係性についての研究について述べている。7-8時間の夜間睡眠をしている人が1時間未満の昼寝をすれば、昼寝をしていない人に比べて脳卒中のリスクが減少するそうだ。反対に、9時間以上の夜間睡眠をしている人が1時間以上の昼寝をする、もしくは昼寝をしないと、脳卒中のリスクが上昇するそうだ。昼寝をするなら1時間未満、そして夜は寝すぎると良くないということである。
論文②
The nap did not improve task performance, however, it improved volition and the self-rating of task performance. It also suppressed subjective sleepiness and attenuated eyes-opened EEG alpha activities. The results suggest that a 20-min nap at noon had partial positive effects on the maintenance of the daytime arousal level.
昼寝(仮眠)による仕事の効率改善は無かったが、被験者による仕事に対する意欲と効率の自己評価は改善したそうだ。即ち、実際の仕事の効率は改善しないが、改善したような気分で仕事ができるということなのだろう。また、主観的な眠気は抑制されるそうだ。20分の昼寝を正午にすると、昼間の覚醒レベルの維持(即ち集中力)に良い効果があるそうだ。
論文③
実験の結果、仮眠の有無によらず、カフェインを摂取した場合が摂取しなかった時と比べて午後のパフォーマンスに有意な差が示され、カフェインの有無よらず、仮眠を取った場合は仮眠を取らなかった場合に比べて午後
の眠気の主観評価に有意な差が示された。また、仮眠とカフェインの併用の効果をみるために仮眠有カフェイン有の場合と仮眠無カフェイン無の場合と比較したところ、最も眠気の強いとされる 14:00 前後の時間帯で、パフォーマンスと眠気の主観評価の両方に仮眠とカフェインの併用の効果が現れることが示唆された。
日本語なので、そのままでも良かったのだが一応。。。つまり、昼寝(仮眠)に関係なく、カフェインを摂取すると午後のパフォーマンスは上がり、カフェインを摂取してもしなくても仮眠を取ると午後の眠気は主観的に減少するそうだ。また、カフェインを摂取してから仮眠を取ると、午後の眠気とパフォーマンスが主観的に改善するそうだ。論文②とほぼ同様のことを言っている。
論文④
The effects of a short nap against mid-afternoon sleepiness could be enhanced by combining caffeine intake, exposure to bright light, or face washing.
これは、昼寝の効果を強化する方法についての論文である。カフェインの摂取、明るい光を浴びること、洗顔を昼寝と組み合わせることで、短い昼寝の効果を強化できるそうだ。
論文⑤
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjppp1983/25/1/25_45/_pdf
カフェインを服用してから、その効果が現れるまで15分〜30分かかることを考慮すると、カフェインを摂取した直後に短時間仮眠をとれば、起床する頃にはカフェインの効果が現れ、睡眠慣性を低減することができると考えられる。
論文④と整合性が取れている。仮眠前にカフェインを取ることは、睡眠慣性を低減させるようだ。 ちなみに睡眠惰性とは、仮眠後に残留した眠気のことである。
仮眠後に高照度光を照射した条件のほうが、単に仮眠をとっただけの条件よりも覚醒効果が高く、睡眠慣性の低減に有効であった。
これも論文④と整合性が取れている。仮眠後、明るい光を浴びると眠気が改善するようだ。
20分間の短時間仮眠から起床した直後、25℃の常温水で洗顔してもらったところ、仮眠直後の睡眠慣性は低減できた。しかし、覚醒効果が認められたのは洗顔直後だけであり、その効果は一時的なものであった。
論文④では、仮眠後の洗顔は効果があると言っていたが、それは一時的なものなようだ。
睡眠慣性の低減には、好みの高い興奮的楽曲が有用であるといえる。
これは初耳だった。仮眠後に好きな音楽を聴くと眠気の改善に効くそうだ。明日から導入してみようと思う。
午後の眠気を解消するためには、夜間睡眠をできるだけ確保し、睡眠不足にならないようにすることが鮮血である。しかし、睡眠不足を余儀なくされた場合や、夜間睡眠が確保できていたとしても午後に眠くぉ覚える場合、緊急避難的な対策の一つとして短時間仮眠を利用することが望まれる。
これが、この論文の総括だが当然のことを言っている。午後の眠気を改善するためには、やはりまず夜間睡眠をしっかりと取ることが重要であると言っている。
以上をまとめると、以下のようになるはずだ。
1時間未満(20分がベスト?)の昼寝をすると、
・午後の眠気が改善した気になる。
・午後のパフォーマンスが改善した気になる。
・夜間睡眠をちゃんと取っている(7-8時間)と、午後の眠気が改善し、脳卒中のリスクも減少する。
昼寝の寝覚めを良くするためには、
・昼寝する前にコーヒーを飲む。
・昼寝後、日光(高照度光)を浴びる。
・昼寝後、自分の(興奮する)好きな音楽を聴く。
こんなところだろうか。今回の記事は論文を並べただけで少し雑なものとなってしまったが、午後の眠気がひどい人なんかはコーヒーナップを実践してみてはいかがだろうか。最後に、まだ私も読んでいないのだが睡眠科学の第一人者であるマシュー・ウォーカーの書籍を紹介して終わりたいと思う。現時点での科学が出した睡眠に対する答えがまとめられている(はず)。人間は人生の内四分の一以上は睡眠している。その睡眠について理解を深め、うまく活用しない手はないのではないだろうか。それが、人生の改善にトータルとしてつながると私は考えている。