daikosh's blog

1日1アウトプット

哲学

芸術の定義。~芸術と技術の違い(補足)~

前回で終わらせようと思っていたのだが、違ったアプローチを思いついたので記事にしておく。今までは、英語で芸術を意味する"art"という言葉の語源から考えていたが、結局はラテン語で技術を意味する"ars"に行き着いてしまい、差異についての思慮は得られな…

冬は贈与の季節。

クリスマスである。「100分で名著」で最近学んだ『野生の思考』でちょうどクリスマスに関する話題があったので、少し紹介したいと思う。『野生の思考』はフランスの哲学者であり構造主義の創始者のレヴィ・ストロースが著した哲学書である。彼は人間の思考に…

100分で名著。

なかなかいい記事が思いつかなかったので、今日は報告だけ。 最近、「100分で名著」というNHK番組をYoutubeで見ることにハマっている。4週(4✕25分)に渡って1冊の本について専門家がわかりやすく解説するという番組である。その本についてだけではなく、…

『ハイデガー哲学入門ー『存在と時間』を読むー』を読んで。ー死についてー

昨日の記事の続きである。 daikosh.hatenablog.com さて、前回の記事では〈ひと〉について解説した。今回は、ハイデガーが考えた人間が生きる世界観の説明を通して、ハイデガーの人生哲学を紹介したいと思う。 まず、我々人間(実存、現存在)はこの世界に投…

『ハイデガー哲学入門ー『存在と時間』を読むー』を読んで。ー〈ひと〉についてー

インドに行く前に読み終えていた『ハイデガー哲学入門ー『存在と時間』を読むー』のまとめをそろそろしておかないと忘れそうなので、今日から2つぐらいの記事にしてまとめたいと思う。ハイデガー哲学はとにかく専門用語が多く難解であったため、間違いや解…

脳力の限界。

現存在、実存、本質存在、事実存在、配慮的気遣い、顧慮的気遣い、間主観性、空談、先駆的決意性、本来性、非本来性、既在、、、 これらはすべてハイデガー哲学で出てくる言葉である。率直に言って意味不明だ。最近、そのハイデガー哲学の入門書である『ハイ…

カテゴリーの整理をしました。

今まで書いてきた記事全てにカテゴリーをつけた。そこでなんとなくだが「カテゴリー」という言葉について少し調べてみようと思った。そもそもカテゴリーを日本語にするとどうなるかというと「分類・範疇(はんちゅう)・種類」になるようだ。また、カテゴリ…

『君たちはどう生きるか』を読んで。

昨日の記事でも少し触れたが、『君たちはどう生きるか』を読み終えた。オリラジのあっちゃんが話のざっとした流れと内容を動画で取り上げているので、読んでる暇がないという人には良いと思われる。また私が読んだものとあっちゃんの語っていた内容が少し違…

「存在する」とは。

先週の日曜日に図書館で借りた本の内、『君たちはどう生きるか』を読み終えた。いつも通り内容をまとめたいのだが、時間がないので後日に回し、今日は次に読み始めた『ハイデガー哲学入門ー『存在と時間』を読むー』の紹介をしようと思う。導入部分の時点で…

反知性主義、図書館、哲学書。

『反知性主義:アメリカが生んだ「熱病」の正体』を読了した。この本を知ったのは、Youtubeに上がっていたある大学教授の授業がきっかけである。そこで、ハーバード大学が何故アメリカという国ができる前に設立されたのかといった話とともに、この本が紹介さ…

俺か、俺以外か。

先日テレビで現代ホスト界の帝王・ROLANDを見かけた。前から彼の存在は知っていたのだが、想像以上に彼の話は面白かった。そして、昨日kindle unlimitedに彼の本があったので、読んでみることにした。非常に読みやすくスラスラと1時間程度で読み終えること…

哲学ブームの意味するところ。

今日の日経新聞に、中国の決済が顔認証が主流になったという記事があった。中国が超監視社会に成りつつあるのだ。以前に『正義の教室』の説明で少し話したが、これはまさにベンサムの設計した監獄・パノプティコンに着々と近づいていっているように思える。…

自動運転車とトロッコ問題。

「トロッコ問題」を取り上げた自動運転車の倫理的な問題に関する記事を読んだのでそれについて。 newspicks.com 「トロッコ問題」については、『正義の教室』シリーズで話したので詳細は割愛する。要は「何もしないで5人を轢き殺すか、レバーを引いて1人を轢…

釈迦の悟りとは。ー釈迦と科学3ー

前回は「空」と「縁起」について説明したが、両者の考え方をまとめると以下のようになる。 釈迦の教えとは「自と他に差はない」と知ることなのです。それが悟りの境地です。自と他は同じものだから。(『お釈迦様の脳科学』より) 注意してほしいのがここで…

仏教の悟りとは。ー釈迦と科学2ー

前回の記事では「空」について説明した。「縁起」の話をする前にもう少しだけ補足しておきたいと思う。 「空」とは最も抽象度が高いものであると同時に、最も情報量が少ないものであるという話であった。前回話した超ひも理論と「空」の世界観の理解を深める…

仏教の悟りとは。ー釈迦と科学1ー

さあついにやってきた。最新の科学が解き明かした世界と釈迦の説いた悟りの世界が重なり合う。正直言うと、今までの仏教の歴史の紹介は今回の内容を語るための前座にしか過ぎない。それでは認知科学者の苫米地氏著『お釈迦様の脳科学』を参考に、仏教の悟り…

仏教の悟りとは。ー誤った仏教の教えの危険性ー

個人的な話だが、今日は学会に出ており、あまりまとまった時間がとれなかったため軽い記事を書きたいと思う。前回までで、ざっと仏教が日本に伝来するまでの流れを紹介した。今回は誤った仏教の教えと、それらの危険性について話したいと思う。具体的にいう…

仏教の悟りとは。ー日本の仏教ー

さて、前回は龍樹を中心とした大乗仏教について話したが、その後のインドでは、仏教はヒンドゥー教に飲み込まれてしまう。しかし、仏教は東へと移動し、中国を通って日本に到来するのであった。『最強の哲学入門 東洋の哲人たち』には中国で花開いた東洋哲学…

仏教の悟りとは。ー空の哲学ー

今回は大乗仏教の中心人物である龍樹(ナーガールジュナ)の教えについて話したいと思う。彼は釈迦の教えを『般若経』と『中論』にまとめた。『般若経』はあの有名なお経『般若心経』の元となったものである。では、彼は一体何を説いたのか。「空の哲学」で…

仏教の悟りとは。ー釈迦ー

今回は仏教の創始者である釈迦について話したいと思う。 彼はある国の王子であり、非常に裕福な生活を送っていた。しかしある日、家の西門から外を見ると、死人が倒れていたのを目撃する。同様に、東門の外には老人、南門の外には病人を見つける。彼はそれら…

仏教の悟りとは。ー梵我一如ー

最近、仏教の悟りについて理解を深めることができた。そこで、このブログで私が理解したことをまとめたいと思う。まずは、仏教の大きな流れを説明することから初めたいと思う。そのために、またまた飲茶氏の本を使わせていただく。『史上最強の哲学入門 東洋…

『正義の教室』を読んで。ー補足ー

前回、絶対主義と相対主義の対立を用いて、西洋哲学史について話したが、今回は現在暫定の勝者である構造主義及びポスト構造主義について話しておきたいと思う。 構造主義を簡単に説明すると、人間はコップの中の水のような存在で、コップの形状によって水の…

『正義の教室』を読んで。ー直観主義ー

今日は「宗教」の正義である直観主義について話したいと思う。おそらくこれが一番ピンと来にくかったのではないだろうか。一般的に宗教とはキリスト教や仏教などのことを指すが、ここで言う宗教とはさらに広義の意味である。この立場を簡単に説明すると、物…

『正義の教室』を読んで。ー自由主義ー

続いて、今日は「自由」であることこそが正義だと考える立場の自由主義について話したいと思う。まず、自由主義は大きく2つに分けられる。弱い自由主義と強い自由主義である。前者はリベラリズムと呼ばれている。リベラリズムでは、富裕層に高い税金をかけ…

『正義の教室』を読んで。ー功利主義ー

それでは、まず「平等」から始めたいと思う。平等こそが正義であると考える立場のことを、功利主義と呼ぶ。「最大多数の最大幸福」という言葉は高校の倫理の授業などで聞いたことがあるだろうが、これはまさに功利主義の原理を表現している。つまり、できる…

『正義の教室』を読んで。

飲茶氏著の『正義の教室』を読了した。個人的に飲茶氏の作品は大好きで、読書好きになるきっかけを作ってくれた作家である。ジャンルは哲学や科学である。彼の文章は読みやすいだけでなく、非常に論理的で腑に落ちることが多い。 この作品は「正義とは?」と…

意識と無意識。

昨日に引き続き、『認知科学の招待』について書きたいと思う。昨日は、人工知能には限界が存在し、現在の認知科学も人間がものを認識するメカニズムを理解できていないという話をした。その問題点を簡単に理解するためにフレーム問題を取り上げて説明したの…

人間はなぜ「ここはレストランだ」とわかるのか。

今日は彼岸の墓参りをして、『認知科学への招待』という本を読んだ。人工知能(AI)が流行りの今、また哲学や仏教を勉強する上で、認知科学について少しは勉強しておこうと思ったのだ。この本の筆者である苫米地氏のことは以前から知っており、彼の本も何冊…

自分の人生とは。

数ヶ月前に『嫌われる勇気』を読んだ。今更感がしないでもないが、とても興味深かったので、感じたことを少し書き連ねてみる。 嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え 作者: 岸見一郎,古賀史健 出版社/メーカー: ダイヤモンド社 発売日: 2013/12/…