機内にて。否定疑問文について。
"Flight mode is not allowed. Please turn off your mobile phone."
(機内モードは許されていません。携帯電話をお切りください。)
ある乗客(おそらくインド人)に対してキャビンアテンダント(おそらくタイ人)が注意していた。その声かけに対して、
"It's not allowed?"
(それ(機内モード)は許されていないのですか?)
とその乗客は聞き直した。ここまではよかったのだが、その質問に対してそのCAはこう答えたのだ。
"Yes!"
(はい!)
これは日本人もよく間違ってしまう問題である。否定形の疑問文に対しての答え方のギャップである。CAの返答は
「はい。(許されていません。)」
となり、特に問題がないように思われる。しかし英語では、疑問文が否定形であっても肯定文に対する返答と同じように答えなければいけない。つまり、CAの返答は
"Yes, (it's allowed.)"
(はい。(許されています。))
と捉えられてしまうのだ。案の定、その乗客は混乱し、そのあともごちゃごちゃとやり合っていた。ではこの問いにCAはどう答えればよかったのかというと
"No, (it's not allowed.)"
(いいえ。(許されていません。))
である。日本語訳を見ると不思議に思うのかもしれないが、これが正解である。英語の場合、Yesと肯定した後に続く文章は肯定文でなければならず、Noと否定した後に続く文章は否定形でなければならない。
まあおそらくご存知の方も多かっただろうが、タイ語は日本語と同じような答え方をするんだなあと思ったので取り上げてみた。
ちなみに、フランス語は日本語とも英語とも異なる。否定形の疑問文に対する答えを否定するためだけに存在する言葉があるのだ。日本語の「はい」「いいえ」に対応する言葉は「Oui」「Non」である。しかし、否定形の疑問文に対しては「Si」「Non」で答えなければいけない。例えば、
«Tu n'as pas faim?»
(お腹すいてないの?)
という問いに対しては、以下のように答えられる。
«Si, (j'ai faim.)»
(いや、すいてるよ。)
«Non, (je n'ai pas faim.)»
(いや、すいていない。)
ややこしや〜となるかもしれないが、「Si」が否定形の疑問文を否定するということさえ覚えておけばなんとかなるはずだ。