daikosh's blog

1日1アウトプット

パノプティコンの中で生きる。

 

今朝の日経新聞に、現代とこれまでの時代の政治と企業の関係性についての説明がなされていた。要約すると、昔はグレートファミリーと言われている企業家一族や鉄道会社などが、その経済力や乗車券の特典などを用いて政治に大きく関与していたが、現代の有力企業はもっとたちが悪いという話だ。政治をコントロールするために彼らができたことといえば、精々ダークマネー(裏資金)を有権者にばら撒いたり、サービスの利用を優遇したりすることであった。しかし、現代のGAFAを代表とするIT企業は、経済力はもちろんのこと、全世界の個人情報を手にしている。これは、政治への影響力の大きさではなく、質が異なる。なぜなら彼らは政府を通さず、国民、いや世界市民を直接コントロールすることができるからである。監視資本主義社会になりつつあるのだ。各国の政府は、これらを阻止するためにマイクロターゲティングなどの情報操作を禁止するような法案を提出しているようだ。マイクロターゲティングとは、

選挙運動やマーケティングなどで、対象とする個人に関する情報を詳細に分析し、嗜好や行動パターンを把握することによって、より効果的な戦略を構築する手法(デジタル大辞泉より)

である。従って、マイクロターゲティングを良しとしてしまうと、簡単に人々の行動や思考をコントロールできてしまい、民主主義というシステムが崩壊してしまう恐れがあるのである。

 

少し話はずれるが、『サピエンス全史』では、様々な種類のヒトが存在していた中、我々人類(ホモ・サピエンス)は虚構(フィクション)を作ることができたため、勝ち残ることができたという説明がされている。その虚構の例として紙幣や国家が上げられるのだが、今回注目したいのが宗教である。時代を経るにつれて、その宗教という虚構はアニミズム多神教、そして一神教と進化してきており、近代では宗教という形をとっていないと説明している。それはイデオロギーと呼ばれている。イデオロギーとは、資本主義や社会主義などの思想のことを指す。つまり、一部を除く世界の人々は、資本主義という宗教を信じていることを意味する。簡単に言ってしまうと、お金を稼ぐと幸せになれるということを信じているということだ。ところで、何故この話をしているのかというと、監視資本主義の話から、資本主義の限界が垣間見えてきているように思えたからである。資本主義が台頭してきて約300年。そろそろ次のイデオロギーが出てくるのだろうか。もしくは、イデオロギーではない何か新しい虚構を人類は作り出すのだろうか。数百年後には、そもそもホモ・サピエンスホモ・サピエンスでなくなっているかもしれない。

 

ちなみに、この記事のタイトルのパノプティコンとは、功利主義ベンサムが発案した監獄システムであり、後にポスト構造主義を代表するフランスの哲学者フーコーが『監獄の誕生』で用いたことにより注目を集めた言葉である。そういった意味で、パノプティコンは監視社会を指す。詳しくは、以下の記事を参照されたい。

 

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