2019年の面白かった本ベスト5。
私の独断と偏見で選ぶ、2019年に読んだ本の中で面白かった本ベスト5を紹介したいと思う。それでは第5位から!
〜5位〜 飲茶著『史上最強の哲学入門』
この本のおかげで読書習慣がついたと言っても過言でもないほど面白かった作品である。西洋哲学の大きな流れを主要な哲人(哲学者)を一人ずつ紹介している作品である。昔から哲学について考えることは好きであったのだが、本を読む習慣がなかったため歴代の哲学者がどのような考えを説いていたかや、哲学史については全くの無知であった。しかし、この作品を通しこれらのことを大まかに知れ、自分の知的好奇心を大いに満たすことができた。哲学者については個別に知っていることが多い。例えばプラトンのイデア論、デカルトの「我思う故に我あり」、ニーチェの「神は死んだ。」といった具合である。しかし、このような知り方では、へえとなって終了になることが多い。ところが、実際の哲学は、特に西洋哲学は、前の時代の思想の批判をすることで進化してきている。そのため、哲学史を哲人と共に大きなストーリーとして理解すると非常に面白い上、理解が深まるのである。つまるところ、哲学の入門書としては最適であるということだ。著者である飲茶氏は元々理系であったということもあり、非常に論理的で分かりやすい作品であると感じる。ちなみに、この本のシリーズとして東洋哲学版も存在するので、そちらも同様に面白かった。
〜4位〜 安部公房著『壁』
内定先の課題である読書感想文に読んだ作品である。「この作品がベスト5に入る理由は◯◯です。」と明言することができないのだが、ベスト5を考えたときにこの作品は入れなければいけないといったような感覚に陥った。よくわからないが、面白い。よくわからないが、印象に残っている。よくわからないが、第4位。このように、この作品には、特に理由なく心を動かされたり、また反対に傷をつけられたりした。まさに芸術作品としてのシュールレアリスムの妙といった所なのであろうか。また詳しくは読書感想文の方に書きたいと思う。
〜3位〜 重松清著『青い鳥』
主にいじめや障害者などの人間社会におけるマイノリティに焦点を当てたストーリーを集めた短編集である。純粋に感動できたり、時にはハッとさせられ考えさせられたりする。相手の立場になって考える重要性を改めて気づかせてくれる作品である。『「正しいこと」と「たいせつなこと」は違うんだ』というセリフは印象に残っている。
〜2位〜 飲茶著『正義の教室』
これも飲茶氏の作品である。この世界全ての問題は最終的に「正義」に行き着くと私は思っている。そういった意味でこの本は様々な問題に関して考える上での指針に大いに役立つと感じた。この本ではあえて正義を、平等(功利主義)・自由(リバタリアニズム)・宗教(直観主義)の3種類に分けて考えているため、単純明快であり日常生活の中でも当てはめやすいのである。ゲノム編集ベイビーの誕生や超監視社会、人類の脳力を超える人工知能についてなど、現代の答えのない問いを考える際に大いに参考になると思う。以前にシリーズとして複数記事にまとめたので参照されたい。
第1位は仏教に関する本である。この本はある意味では私の人生観を変えた。「ある意味では」と付け加えたのは、人生観の方向性が大きく変わったわけではなく、より補強されたといったようなニュアンスに近いからである。ぼやけた視界にメガネを掛けてピントがあったような感覚である。もちろんこれは認知科学者が書いた本であり、認知科学や脳科学の視点から説かれた仏教思想であるため、宗教的には間違いが含まれているのかもしれない。しかし、敬虔な仏教徒ではない私にとっては、苫米地氏の解説はとても快活でしっくりきたのである。その思想については詳しく記事に書いているので参照されたい。誰にでも分かることであり、きっと少しでも人生観に良い影響を与えてくれるのではないだろうか。
以上、ベスト5を列挙してみた。こうやって見ると、仏教と哲学に偏っていることがよく分かる。来年のランキングがどのように変化しているかが今から楽しみである。
非常に短い作品であるのにも関わらず、人間の本質がぎゅっと詰まっており、描写も美しい作品である。これが芥川龍之介なのかと実感させられた作品であった。数分あれば読めるので、まだ読んだことがないという人には是非読んでいただきたい。